毎日の「フラッシュ学習」と“親の愛”が子どもの知能を育む

〜 学ぶことは実は楽しい 〜
星 みつるさん◎株式会社スターシップ 代表取締役社長

星 みつるさん◎株式会社スターシップ 代表取締役社長

今回のゲストは、子ども向けの映像コンテンツや教育教材を数多く制作している「株式会社スターシップ」の代表取締役社長・星みつるさんです。NHKの「英語であそぼ!」「ひとりでできるもん!」「週刊こどもニュース」などを制作している会社といえば、皆さんすっかりおなじみのはず。今回は「フラッシュ学習」という、ちょっと聞きなれない学習方法について教えていただきました。

―星さんは、「秀逸フラッシュシリーズ」という教材を制作していますが、そもそもフラッシュ学習とはどういうものでしょうか。

フラッシュの意味の一つは「瞬き」です。幼児期の脳は右脳が主導権を持ち、一瞬で捉えた視覚情報(残像)を写真のように記憶します。この特徴を生かし、文字や絵などのカードを瞬時に連続して見せて、大量の情報を右脳にインプットさせるというのが、フラッシュ学習です。開発したのは、理学療法士のグレン・ドーマン博士です。博士は、脳に障害のある子どもの機能回復を図ろうと、カードを高速で大量に見せる方法を試しました。すると、その回復の効果が目覚しかったため、幼児の能力開発としてのフラッシュ学習を研究し始めたのです。

フラッシュ学習で右脳に情報が蓄積されると、それがやがて左脳と交換されるので、左脳と右脳がバランスよく発達します。また、人間の脳のうち最も知的な働きをする「前頭連合野」も鍛えます。特に生後1年前後の乳幼児は、母親や周囲からの情報・刺激で脳に神経回路を作る時期なので、この時期からフラッシュ学習を始めると記憶力やIQなどの成長に大きく寄与するといわれます。

―その理論に基づく教材が「秀逸フラッシュシリーズ」というわけですが、この教材の特徴は?

フラッシュカードのDVD版といえば分かりやすいでしょうか。普通、フラッシュカードは1秒以内のスピードで、絵と音声が同期となるようテンポよくリズミカルにめくらなければ効果が期待できないのですが、家庭でそれを行うのはかなり大変です。「家庭でも簡単に、かつ的確にフラッシュカードができないか」というお母さんたちの声から、DVD化しました。DVDなら、絵と音声を同時にフラッシュできる上、言葉のイントネーションやアクセントも完璧に表現でき、速聴や音楽のリズムに合わせること、クリアな残像を残すことも可能です。また、DVDにすることで、お母さんがカードめくりよりも子どものサポートに集中できるようになりました。

―そのDVDのタイトルも「英単語シリーズ」から「三字・四字熟語」「国旗・国名・首都」「人体・器官・科学者」等まで36種類(33頁では、その中の28点を紹介)と、多岐にわたりますね。選ぶのに迷いそうです(笑)。

「百科事典のメガ知識が知能を育て、考える力の基礎をつくる」が秀逸フラッシュシリーズのモットーです。百科事典を楽しむように、子どもが一番興味を持つタイトルから選んでください。嫌がったら無理強いしないで別のタイトルにしましょう。子どもが自分から「次も見たい」と積極的になってきたら、「じゃあ、これはどう?」とさまざまなタイトルを選んであげて、能力を幅広く伸ばしてあげてください。

もし子どもの興味分野が捉えにくい場合は、秀逸フラッシュシリーズのサイト(アドレスは右記)にある「取り組みチャート」を参考にしてください。実際に取り組んだ方々の声や、月齢別の推奨タイトルも紹介されているので参考になると思います。

―ところで、「小さいうちから詰め込み学習をするなんて」と思う人もいませんか?

確かに大人にとっては詰め込みは苦痛でしょうが、子どもにとっては苦痛ではありません。むしろ子どもは「学びたい」と本能的に思っています。初めて知った言葉を繰り返したり、親を質問攻めにしたりするのも、学ぶことが生きる上で役立つと知っているからでしょう。「勉強はつらい・嫌い」と大人は言いますが、本当は学ぶことは楽しいし、楽しく学ぶことが大切なんです。

私たちの教材も、楽しく・無理なく学べるようにと配慮を重ねて作っています。例えば、フラッシュの入門編ともいえる教材「フラッシュえいご」(21頁)は、物語の中にさりげなくフラッシュを挿入するなど、初めてフラッシュを体験する子もスムーズに英単語やフレーズ等を学べるよう構成してあります。また、速さよりもリズムでフラッシュさせる手法(チャンツ)を採用し、ここで培った「リズムで英語を捉える」という表現は、秀逸フラッシュシリーズの「英単語シリーズ」にも受け継がれています。

―最後に、お母さんたちへメッセージをお願いします。

秀逸フラッシュで大切なのは、1日2〜3分でいいので、毎日取り組むこと。それが右脳を開き、前頭連合野を発達させます。また、記憶は眠っている間に定着するので、十分な睡眠をとりましょう。そして何より、お母さんと一緒に取り組むことが大切。毎日一緒に取り組むと、子どもの日々の変化や、良いところや苦手なところも見えてきます。苦手なことは協力して乗り越え、良いところやできたことはほめてあげてください。子どもは母親と共感し合えると喜びを感じ、やる気を出します。優れた知能と愛情を授かった子は、決して母親を裏切らないと私は信じています。

<インタビューを終えて〜記者の感想>

星さんの手による映像番組は、NHKの「いないいないばぁっ!」や、キッズステーションの「Kin-Q☆キッズおたすK隊」など、他にもたくさんあります。もともとはテレビのCMディレクターで、ハリウッドでコンピュータグラフィックによる最新特撮技術も経験。23年前に学研の依頼で「九九のうた」を作詞して幼児教育に興味を持ち始め、NHKの「英語であそぼ!」の番組開発を依頼されたのを機に、これまでの経験を生かすことになったそうです。番組には毎回視聴者の反応が寄せられ、そこで「子どもや母親は何に興味を持つか」を数多く学んだとか。「秀逸フラッシュシリーズ」もそうした星さんの経験が凝縮され、何度もモニター調査するなどこだわり抜いて完成したものですが、「そうしたこだわりも、使う人には分からないように制作しています」と言うところがまたニクイのでした。

インタビュー:沢見涼子 写真:小橋城

星 みつるさん◎株式会社スターシップ 代表取締役社長

【プロフィール】
<ほし・みつる>本名は「星孝司(ほし・たかし)」。1954年生まれ。日本大学芸術学部卒業後、総合広告代理店に入社し、クリエイティブデザイナー、テレビCMディレクターを経験。海外ロケを機に87年からニューヨークの制作プロダクションmoveと交流し、世界各地の制作プロダクションと仕事。また、同年より「星みつる」の筆名で作詞、教育ビデオ制作、創作絵本の連載、イラストなどを始め、「学研九九のうたCDムック」「学研ミクロンのかん字早おぼえ教室(2年の学習/CD)」「学研頭脳開発わくわくビデオシリーズ全7巻」「学研ようかいの森伝説(1年の学習/1年間連載)」「学研テツとリーの気になるあいつ(5年の学習)」などを手がける。89年に総合広告代理店を退社。同年、手がけた子ども向けビデオが50万本を超える。90年に株式会社スターシップを設立し、97年より現職。日本脚本家連盟・日本放送作家協会正会員、日本音楽著作権協会正会員、厚生労働省食育検討委員、国際子ども芸術教育委員。