さまざまな体験で興味を引き出しIQとEQをバランスよく育む

朝倉 梢さん◎クライスアカデミー代表

朝倉 梢さん◎クライスアカデミー代表

今回お話を聞くのは、クライスアカデミーの代表・朝倉梢さん。幼稚園・小学校受験のための教室を運営しています。また、数々の教材も制作・販売し、受験対策と限らず子どもの知育開発に役立つ教材を各種そろえています。こうした教材の特徴や使う際のポイント、家庭での知育教育の進め方について話を聞きました。

―幼稚園・小学校受験のための教室を運営されているとのことですが、どのような内容なのでしょうか?

小学校受験では、ペーパーテストで読み書きなどIQ(思考力)を見るところもあれば、子どもの社会性や創造性(EQ)を見るところもあり、私たちはそのIQとEQとをバランスよく育むことを目標に教えています。

例えば、子どもにいくつか問題を出します。でも、子どもはそれに正確に答えなければいけないわけではなく、考えるということも大切にします。また、さまざまな体験もさせ、困難に遭遇したら自分で解決する力、お友だちと協力し合う力なども身に付くようにしています。

子どもの教育には、教室とご家庭との連携、すなわち「和」も必要です。教室の名前にドイツ語で「円滑」「和」を意味する「クライス」を用いたのもそのためです。

―「幼い子どもが受験勉強だなんて」と抵抗を感じる人もいると思いますが…。

もちろん合格は目標ですが、合否以上にその先にあるものが大切だとも思っています。例えば、教室で富士山の絵をみんなで描いたとき、ある子はそれを機に富士山に興味を持ち、親にせがんで実際に富士山を見に行きました。

そこで初めて「富士山は実は険しくて山肌も粗いんだ」と知り、それ以来、日本中の山を自分で調べ出して「この山は剣岳で、この山は…」と大人に教えるまでになったのです。教室で学んだことが、子どもの興味や可能性を広げるきっかけにもなるのです。

実際に体で体験させることも重視しています。例えば「大木とはどんなものか」という問題を出すとします。その答えを子どもたちに口頭で教えるのではなく、実際に山に連れて行き、大木を触らせて「大木の根はこんなに太いんだな」「皮はゴツゴツしているんだな」と五感で体得させるのです。ヒトは140億個ある脳細胞の約90%が6歳までに完成すると言われており、特に五感を使って体験したことは生涯身に付くと言われています。

―教材も制作・発行しているそうですね。

1冊で幼児教室の授業3回分を、家庭にいながら授業形態で指導できる教材です。子どもたちがワクワクして自分から取り組みたくなるような内容にしています。

このうち、ベーシックテキスト「HOP(ホップ)」「STEP(ステップ)」「JUMP(ジャンプ)」は、鉛筆の持ち方や線描き・図形などの基本を学ぶものです。対象年齢にこだわらず取り組んでいただいてよいと思いますが、もし、どのレベルから始めるべきか迷う場合は、最初の「HOP」から始めてみましょう。当社の教材にはすべて、保護者の方向けの「アドバイスシート」が入っているので、子どもが分からない部分は保護者の方が指導でき、親子の交流の機会にもなります。また、それでも教え方が分からない場合は、添付の「質問シート」に書いて、私たちにFAX等でお送りいただくこともできます。

一方、合格マルシリーズ「春」「夏」「秋」「冬」は、各季節の代表物や日本古来の行事などを例にして、数や図形、言語、常識などを覚える教材です。たとえば、「冬」ならばみかんで数の数え方・分け方などを学び、数字の知識だけでなく「みかんは冬の果物」という知識も自然に身に付くようにします。最近スーパーでは果物や野菜が季節を問わず年中手に入るので、こうした知識をご家庭で教えていくことも大切だと思います。

―最近は仕事を持ち、忙しい母親も増えています。

「お話の記憶」「数・形・色の記憶」なら、子どもが一人でも取り組めます。CDから物語とそれに関する質問が流れ、子どもは制限時間(CDから鐘の音が鳴る)までに回答するので、スピードも鍛えられます。この際、瞬間的に覚えるのが得意な子もいれば、ゴロ合わせなどで覚えるのが得意な子もいますので、それぞれの得意な方法を見極めて伸ばしてあげるようにしましょう。

―家庭での教育で、心がけるべき点はありますか?

勉強を見る際、目の前に鏡を置くとよいですよ。というのも、こういう場合、つい親のほうが熱が入って目がつり上がっていることがあります。子どもは親の反応を深刻に感じ取るので、鏡でご自分の表情を常にチェックして、冷静に子どもに接していただきたいですね。

また、日本人は謙虚ですから、つい他人には「○○さんちのお子さんはエライですね。それに比べうちの子なんて…」などと言いますが、子どもはそれが社交辞令だと分からず大きなショックを受けますので、気をつけたほうが良いでしょう。そして、子どもをほめるときは、面と向かって直接ほめることも大切ですが、父母の会話の中で聞こえるように、「うちの子はもうこんなことができるようになったのか。すごいなぁ」などと言ってあげてみてください。そのほうが子どもは「自分は本当に評価されているんだ」と信じられ、「もっと頑張ろう!」となれるのです。

それと、お父様とお母様が一緒に教育に臨むことが大切です。子どもはやはり社会の最小単位である家庭で過ごす時間が多いので、家族から受ける影響は大です。また、子どもの教育に関心を持つことは夫婦・家族が結束する機会でもあります。ご家庭の「和」もあってこそ、子どもは豊かに成長できるのだと思います。

<インタビューを終えて〜記者の感想>

日本中の山に興味を持って調べ出したという子どもの話には思わず感心。そういえば子どもの中には、大人も知らないような知識をたくさん披露してくれる子がときおりいて、びっくりさせられることがあります。子どもがいったい何に興味を示すかや、どんな可能性を持っているかは、実際にそれに触れる機会がなければ分からないもの。だとしたら、大人は子どもにいろいろなことをまず体験させてあげることが大切なのだとあらためて思いました。

インタビュー:沢見涼子 写真:小橋城

朝倉 梢さん◎クライスアカデミー代表

【プロフィール】
<あさくら・こずえ>1982年に高校受験のための英語教室を開校。その後、モンテッソーリの幼児教育に興味を持つと同時に、幼稚園・小学校受験のため教育ニーズの高まりを機に、1988年に幼稚園・小学校受験対策のための「クライスアカデミー」を開校。高い合格実績を上げている。また、家庭で取り組める関連教材の制作・販売も数多く手がけている。
クライスアカデミー幼児教室のサイト:http://www.kreis-youjikyouiku.com/