Growth Compass = 成長の羅針盤
子どもたちの成長の過程で、不安や、疑問が生まれ、途方に暮れてしまうこともあるかと思います。
子育てに奮闘するお父さん・お母さんのために、育児に関わるお悩みに、さまざまな角度からお応えし、羅針盤のように導いていく、各分野の専門家による、教育専門のコラムサイトです。
―「せかい童話図書館」や「レディーバード図書館」などの児童文庫のほか、数多くの知育玩具を提供して32年になりますが、創業のきっかけは……?
私が子どものころ、毎晩寝る前に父が本の読み聞かせをしてくれたんです。そのときワクワクした思い出がずっと心に残っていて、大学卒業後に入った出版社では、幼い子ども向けの文庫を作りたいと提案しました。でも「そんなのは売れるはずがない」と取り合ってもらえず、「ならば自分がやる!」(笑)と思い切って独立して、会社を立ち上げたんです。
レディーバードはイギリスの児童文庫ですが、コンパクトなのに内容が充実していて、イラストも美しい。しかもスーパーでも空港でも1冊数十円で手軽に手に入り、世界中で売られている。こんな本を日本の童話でも作れないか……と思い、生み出したのが「せかい童話図書館」や「せかい伝記図書館」です。その後、レディーバードの日本での販売権も取得しました。
―「セサミえいごワールド」など、英語教材の販売にも、とても力を入れていますね。
これは、当社が自信と誇りを持って勧める教材です。アメリカの「セサミストリート」の教育理論を基本にしつつ、新たな主人公のストーリーを作り、その随所に過去の放送カリキュラムを織り交ぜたという、日本の方が親子で楽しみながら英語を学べる内容です。当社がニューヨークのセサミストリート製作者と一緒に、わずか5分の映像すらも一日がかりで作った、いわば集大成ともいえる教材ですね。そもそもセサミストリートは1969年にアメリカで、学校に行けず社会問題となっていたマイノリティの子どもたちのために、テレビで言葉を学べるようにと始まった意義ある番組です。質の追及も厳しく、その姿勢は「セサミえいごワールド」でも一貫しています。
幼少期からの英語教育には賛否両論ありますが、英語はやはり小さいときから学ぶべきだと私は思います。言葉を丸ごと覚えられるのは5歳まで。それを過ぎると、文法など理屈で覚える能力が勝るようになります。
また、英語は単にインプットするだけでなく、実際に試してアウトプットしないと身につきません。だから「セサミえいごワールド」も、ネイティブスピーカーと対話を繰り返したり、身についたかを確認できる内容となっています。
―各商品はどのようにして家庭に届けられるのですか?
まず雑誌などに当社の広告を載せ、それを見て資料請求されたお客様にカタログや資料を送ります。その後、当社のアドバイザーが電話で詳しく商品説明し、よろしければ購入していただくという流れです。高額な商品もありますから、やはり十分納得した上で買っていただきたいと考え、説明は大事にしています。広告は以前は新聞にも載せていましたが、インターネットが普及した最近は新聞をとらないご家庭も多く、時代は大きく様変わりしたと痛感しています。
―そういえば、最近は「本を買わない・読まない」という人も増えていると聞きます。
一方でテレビの影響は大きく、だから子どもも、自分で何かをイメージする機会が奪われている。小さいときから本を読み、物語の世界を自分で創造する面白さを体験することが大切です。そして、親は子どもにぜひ読み聞かせをしてあげてほしい。子どもは、「親は自分のために本を読んでくれているんだ!」と感じ、親子の愛情やコミュニケーションが深まるんです。私も二人の息子が小さいころは、起業したばかりで忙しい日々のなか、読み聞かせだけは毎晩し、寝かしつけるとまた会社に戻るという生活でした。
いまの時代は、テレビに子育てさせているようにも感じます。ヒーローやヒロインがだれかを倒すといった話が多く、倒された相手の気持ちは考えない。親と目を合わせて話す必要もない。そんな日常が、最近問題となっているいじめの根本にもあるのではないでしょうか。
―いまや物も情報もあふれている時代ですが、良質なものには実はあまり触れていないのかもしれませんね。
幼少期に体験する物事こそ、良質であるかどうかが肝心です。例えば食べ物も、幼いときにお菓子などとっつきやすいものばかり食べていると、次第にそれがおいしいものだという基準が味覚に形成されてしまう。特に子どもは何が良質かは分からないから、親が良質なものを選んで与えないといけないのですが。その一つに読書や、英語教育もあるのだと思います。
英語を身につければ、将来の選択肢や活躍の場は、日本だけでなく世界にも大きく広がります。外国のさまざまな人とのコミュニケーションがバリアフリーになり、どこに行っても人生を切り開いていける。そういう環境を用意してあげることは親の責任であり、子どもに与える一番の財産といえるのではないでしょうか。そのお手伝いをするのが、私たちいずみ書房の役目かと。これからもなお一層、良質で親子で楽しめる本や教材を提供し続けていきます。
<インタビューを終えて〜記者の感想>
実際は二時間以上にわたり熱く語った酒井社長。商品を一つずつ見せては、開発時の様子をこれもあれもと説明する姿はなんだか生き生きしていて、「良いものを作りたい」というこだわりぶりが伝わってきました。英語を学ぶのは、どこでも生き抜ける大人になるため。そして、親が子どもに残す財産は物やお金ではなく教育であるのだと、とても大切なことも教えられました。
インタビュー:沢見涼子 写真:小橋城
【プロフィール】
1942年東京生まれ。66年上智大学文学部新聞学科卒業後、社会思想社入社。独立後、74年にいずみ書房創業。88年より同社代表取締役社長。
詳しい足跡はブログhttp://blog.livedoor.jp/izm_yoshio/にて