幼児教育をベースにした英語教育を

〜 家庭で自然に楽しめる環境づくりも大切 〜
清水 万里子さん◎株式会社エデュシーズ 代表取締役社長

清水 万里子さん◎株式会社エデュシーズ 代表取締役社長

今やさまざまに商品化されている子ども向けの英語教材ですが、数ある中からどのようなものを選ぶのがよいのでしょうか。児童英語教育に22年にわたって携わってきた清水万里子さんに、英語教材の選び方や、日常生活で上手に英語を身につけるコツを教えていただきました。

—最近は英語教材も実に多様化し、選ぶのに迷います。どんな点を基準に選ぶとよいのでしょうか。

英語だけ身につける目的の教材ではなく、まずベースに幼児教育があって、その上に英語教育があるという教材がいいですね。その点で、「セサミえいごワールド」はとても良い教材だと思います。幼児教育の理論がきちんと背景にあって作られているし、子どもを魅了するキャラクターや色使いなどが考えて用いられています。そして何より、英語がナチュラルなスピードで耳に入ってくる。子どもだからゆっくりとしたスピードで聞かせるのがいいということはないんですよ。自然なスピードでやりとりできるようになることが大切なんです。

幼少期は耳による吸収力が大きい時期。「2歳までは耳から学ぶ」ことを心がけてください。「ヘンリーおじさんのやさしい英語のうた(1)(2)」などを聴くのもいいでしょう。また、「バナナじゃなくてbananaチャンツ」「えいごでFRIENDS Cat Chat」なども、正しいアクセントや発音をリズミカルに覚えられる教材だと思います。

—ほかにはどんな教材がオススメですか?

言葉をただ聞いて過ごすのではなく、英語の質問にペンタッチで答える「BB's インターナショナルスクールパックA」など、子どもが能動的にかかわれる教材がいいですね。アルファベットで遊ぶパズルなど、触って楽しめるものも子どもたちは大好きですよ。

子どもは本来、五感で言語を習得していくんです。ビデオ教材の流しっぱなしなど受け身一方のやり方では、言語は身につかず、それどころか発語が遅れるというデータさえあります。親子でコミュニケーションでき、言葉をインプットするだけでなくアウトプットできるものを選んでそろえていくとよいでしょう。

また、「やってみたい」という意欲を子どもに起こさせる教材であることも大切。「NHK DVDえいごリアン」「それいけ!アンパンマン えいごであそぼう/えいごランド」のように登場人物が愉快で人気者であることは、子どもたちを英語好きにさせる重要な要素の一つです。

—「せっかく教材を買ったけど、あまり使わず放り出したまま」なんて嘆くご家庭もありますが。

教材を買っただけで英語が身につく気になってしまうんですよね(笑)。でも、教材購入はあくまでキッカケづくり。きちんと使って、しかも継続しないと効果はありません。

そのために大切なのは、家庭で継続的に英語に触れる環境をつくり、親子で一緒に楽しむことです。部屋の中に、教材をいつでも使えるコーナーを設けたり、就寝前10分間は英語の絵本を読み聞かせることにしたりと、決めておくのもいいでしょう。また、歯磨きタイムには英語の音楽を流したり、お出かけの車の中で英語の曲を流したりすれば、親子で自然に無理なく英語に触れられますよね。継続的に多く触れるほど言葉は身につきます。

そうやって取り組んでいくと、子どもだけでなくお母さんも自然に英語が上達していくんですよ。これは本当にある話。また、最近はお父さんも一緒にかかわるようになって、「子どもの英語教育をきっかけに夫婦の会話が増えた」なんていう人もいます(笑)。

—英語を学ぶ効果は意外なところにもあるんですね。

外国語を学ぶことは、その背景にある文化にも触れることになります。特に物語や本からは、その国の生活様式や考え方が垣間見えますから、「CD付き英語絵本」なども私は気に入っています。

各国の在日大使館の中には、図書の貸し出しを行なっているところもあるので、子ども向けの絵本などが借りられるかどうか問い合わせてみてはいかがでしょう。その国への関心がいっそう深まる読書体験になるはずです。また、最近は子ども向けの本を専門に集めた書店もあるので、そうした場所でさまざまな国の本を探してみるのもいいでしょう。

外国語を身につければ、違う視点から思考する力も身につくと思います。実際、バイリンガル教育に力を入れている北欧やカナダでは、子どもたちの学ぶ力や分析力が高いというデータがあります。私の目標も、英語を話せるだけの人間ではなく、世の中を複眼的に見る目を持ち、さまざまな角度から問題を解決して社会のためになる人間を育てるということです。みなさんにも、そうした観点からお子さんへの英語教育を考えていただければと思っています。

<インタビューを終えて〜記者の感想>

これまでの22年間は子どもたちへの英語教育に捧げてきたという清水さん。その経験を、今後は「教師魂をもつ児童英語教師」の育成にも費やしたいと言います。子どもの人間性・社会性をも豊かにする英語教育を実現するには、まずそれだけの力量や資質が備わった教師が必要だから。「ただ英語を話せる・教えるだけの教師ではだめ。子どもに英語は楽しいと思わせることができ、子どもの成長も心も理解した教師を育てる」と繰り返す言葉には、英語教育に対する強い決意とこだわりが感じられました。

インタビュー:沢見涼子 写真:小橋城

清水 万里子さん◎株式会社エデュシーズ 代表取締役社長

【プロフィール】
<しみず・まりこ>1985年より児童英語教室を主宰し、92〜93年に米国・ワシントン州のMarcus Whitman Elementary Schoolで日本語教師。その後、保育園や小学校の英語授業のほか、河合塾学園トライデント外国語専門学校、愛知淑徳大学などで児童英語教育に関する教鞭をとる。2001年より総合情報サイト「All About」で「子供のための英語」を発信中。06年3月に岐阜大学大学院教育学研究科カリキュラム開発修了(教育学修士)。同年6月に児童と英語教育を考える会社(株)エデュシーズを設立し、代表取締役社長に就任。著書に「子供のための英語」(金星堂)、「小学校英語と中学校英語を結ぶ」(高陵社:共著)がある。